« GO! ララ、GO! (24) | トップページ | GO! ララ、GO! (26) »

GO! ララ、GO! (25)

 

二十五 なぜ部下に逃げられるのか 

 レスターはウェンホアを呼びつけて、「ララの自己評価レポートに部長クラスの採用何度か関わったと書いてあったが、彼女にはまだ早すぎるんじゃないかな彼女は君と違って人事業務について日が浅い。確かに聡明でよく気がつくが何といってもまだ新人だと注意した 

 ウェンホアが黙ったままなのレスターはさらに話をつづけた 

「部長採用はやはり君に任せたい。ララがその場にいても構わないせいぜい君のやり方を傍で見て勉強する程度とどめてくれ。彼女が応募者にインタビューするなどということはないようにね。でないと配属先の門から文句がでるだろうから

 ウェンホアはレスターの
警告が何を意味するか理解した。はウェンホアとララでは社内の位置づけが違うと指摘することで暗に自分を認めていることを伝えている。彼は笑いながら言った。 

「ララは優秀でしっかりした社員です。大丈夫ですよ彼女はよく立場をわきまえて自分の言うべきことすべきことを知っています部門長からも好かれています 

それならよかった君がララをよく教育しサポートしてくれていることは、ララの自己評価書報告を見てわかよ」。 


 ララの
自己評価報告聞き、ウェンホアは堪えきれずに噴き出した 

「ララは私の指導に全く満足していませんよ。彼女あれを書いた目的は私にもっと教えろと要求するためです」。 

レスターも笑った。 

うん。それにワン・ホンにプレッシャーを与えるためでもある」。 


 
二人がひとしきりいあった後に、レスターはウェンホアにジョージCEO訪中後、取締役会は中国への投資拡大戦略を可決したことについて話した――新たな業務拡大プランは基本的にアジア太平洋地域本部の同意を得ており、“Focus China”(フォーカス・チャイナと名付けられている現在、アジア太平洋地域本部がこのプランに詳細な検討と修正を行っている最中で、正式に承認されれば社内組織の変更が行われる。人事もそれに呼応してすぐにも新組織に対応する採用計画を練らなければならない―― 

 

 ウェンホアはレスター彼に示した組織図を仔細に、これから採用チーム課せられる業務量が大幅に増加することを知った。ララに任せたファーストラインの営業マン採用を除き、ウェンホアは本部で重要ポストの採用を何件もやり遂げなくてはならない。難しい仕事になるだろう。道理でレスター自分に対して友好的な態度をとるはずだ。ウェンホアは事態を理解し、瞳に光を宿らせてうなずいた 


 
レスターはウェンホアが音をあげるのではないかと心配していたが、そうでもない様子を見て内心ほっとした地方営業所の採用は誰もが有能さを認める頑固者ララがい――と言っても、この数か月間ララの「頑固というイメージは覆されたのだが、しかし気分が高揚する以前の印象が自然と浮かララをひそかに「頑固者」と呼ぶほうがしっくりきた――。そして本部には「策士ェンホアがいるレスターは今年の人事採用という難題うまくいくことを確信した 


 
その日レスターは数人の部長と会議を開き「フォーカス・チャイナプラン草案について説明し、各自の任務について心の準備させた。翌日、ウェンホアの妻が夫は急性胃腸炎で休む会社に電話をしてきた。レスターはローズとララの仮病を経験していたので病欠と聞くと警戒する。ウェンホアも仮病なのでは、という不吉な予感がした。 


 
数日後、ウェンホアは完治したと言って元気そうなで出勤した。そして、オフィスに入るとレスターの部屋に直行して辞表を提出した。レスターはこの一年あまり部長たちにこういったやり方で弄ばれることに慣れてしまっていた。ウェンホアが病欠した数日彼はローズの退職までの経緯再び思い出してみた。彼にとってウェンホアの辞職基本的には余計な心配の種にはならずにすんだとにもかくにもウェンホアは男性部長だ。妊娠流産だのと嘘をつけない。むしろあっさりしていて気持ちがいい、レスターは自分を慰めた。 


 
それを聞いてララはすぐにレスターのところにやって来た。 

「ボス、ウェンホアの部下でいちばん仕事ができるのはジェイソンです。今すぐにでもジェイソンをシニアに昇進させましょう。給料も上げてやりましょう。そうしないと、彼が今辞めてしまったら大変なことになりますよ」。  

 レスターはうなずいた。 

「ああ、すぐにジェイソンとをしよう絶対に彼を慰留しないと」。 


 
その晩、ジェイソンが風呂から上がると妻が「いまウェンホアから電話が来たけど」と言った。ジェイソンはあ」だけ返事をして特に何も言わなかった不思議そうに「何の話だったのかしら」と言うと、ジェイソンは何の話って、仕事を紹介したいんだろと答えた妻は思わず真剣になりあなた、転職したいの?」と聞いた。ジェイソンは冷ややかに言った。 

「今日レスターからがあった。シニアスタッフして給料も上げてやるって」。  

「それでどうするつもり?」  

とっくにシニアになっていてもおかしくなかった。レスター昇進させてもらわなくても上海でその程度のポストに転職するのは難しくない。給料がいくらるか次第だな」。 

 妻は心配そうに言った。 

みんなウェンホア部長策士だと言ってる気を付けたほうがいいわ」。 

「ウェンホアはDBを辞めることになった。今日すでに辞表を提出したそうだ僕もここまでやってきたんだから怖いものはないよ。僕に不渡り手形を出そうとしても無駄だ今よりいいポスト、今より高い給料。それしかない。毎月住宅ローン返済ために給料日待っている身なんだから 

 妻は夫の言葉にき、それから聞いた。 

「レスターは給料をいくら上げてくれるって?」 

 ジェイソンは嘲笑するように言った。 

「金の話になると服の中にノミでもいるようにもじもじして、ああでもないこうでもないと長話をするが、具体的な数字気持ちよく出してこない。給料がいくら上がるかなんてわからない。いずれにせよ、しばらく待っていれば数日中には辞令がられてくるだろう。今回は少なくとも二千元は上げてもらわないと。総額で八千元に満たないならおさらばだ」。 

「じゃあ、もし本当に八千元になったら?」 

ジェイソンは少し沈黙てから言った 

「もう前みたいにがむしゃらに働きたくない。頑張れば頑張るほどレスターから見くびられる。ウェンホアが用意してくれるポスト比較してから考えるよ」。 

「ウェンホア辞めあなたまで去ったらレスターの身はどうなるの? 

 ジェイソンは怒りをこめて言った。 

「彼はボスとしてこれまで僕にどんな仕打ちをしてきた? あいつだって内心ではわかっているはずだ、遅かれ早かれ僕も辞職するだろうって 


 
辞令がジェイソンの手元に届き、開いてみるとそこには「昇給五〇〇元」と書かれていた。彼は無造作にその紙片をシュレッダーにかけた。 


 
ララがレスターに「ジェイソンはどうでした?」と確認すると、レスターは自ありげに「ジェイソンはニコニコしていたが何も言わなかった。大丈夫だろうと答えたララは以前からレスター昇給には極めて気前が悪いことを知っていたので、ジェイソンの給料をいくら上げたか知りたくてたまらなかったが、とうとうくことができなかった。 


 
ひと月もたたないうちウェンホアがDBを去り、ジェイソン慌てず騒がず辞表を提出しウェンホアの後を追って退職したレスターウェンホアの仕事を二つに分け半分ララに任せ、残りの半分ワン・ホンに割り振る以外になす術がなかった。ワン・ホンは給与と福利厚生しかやってこなかったのでいきなり採用業務担当させられても時間ばかりかかって結果を出せず、レスター自ら一部を引き受けざるを得なかった。 

 本部のER(Employee Relationship 人事関係問題が起きてもワン・ホンこうした業務が苦手で彼に任せることはできない。無理に従業員と話し合せると最後に喧嘩になってしまう始末であった。レスターはワン・ホンにER処理させるのは得策ではない、彼にやらせると問題がこじれるだけだと気づき自らこの種の仕事を一手に引き受け、そのせいで血圧まで上がってしまった 


 
レスターはヘッドハンティング会社部長の候補者探しを急ぐよう催促し、少なからぬレジュメを見て人選を進めていたがいずれもウェンホアに比べると見劣りがし、決めかねているうちに四か月あまり過ぎた。ラは激務に耐えながらも、精神的には特に問題なく、ワン・ホン口では何も言わな明らかに疲弊している様子だった。もともとレスターの性格からすれば部長を一人選ぶのに半年かけるのは珍しことではない。しかし今回は自身も仕事を分担させられて参っていたし、ワン・ホンが不満を持つのを恐れて目をつぶって適当に二人ほど選んでハワードの承認を得るため社長室を訪ねた。しかしハワードはその提案を即座に却下し、ついでに全社の採用業務の進捗についてレスターに説明を求めた。レスターは自分のオフィスに戻ると血圧降下剤を飲んだ。 

|

« GO! ララ、GO! (24) | トップページ | GO! ララ、GO! (26) »

翻訳」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« GO! ララ、GO! (24) | トップページ | GO! ララ、GO! (26) »