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GO! ララ、GO! (20)

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二十 二人の同僚  

    

 後日、ウェンホアはララを見かけると自分のオフィスに招き入れた。ララに座るように促し、笑顔でララを見つめた。  

 ララは気まずくなって、「どうしたんですか。そんなに意味ありげな笑い方をして」、と尋ねた。  

「ボスをずいぶん困らせているみたいじゃないか」。  

「そんな……」、とララはやや臆したように否定した。  

 ウェンホアは真顔になって「いや、君には頭が下がるよ。その意地があればきっと成功できる」と言う。  

 

 その言葉を聞き、ララは少きまり悪そうに「どうにか仕事をこなすだけで精いっぱいです」と遠慮がちに返した。  

 ウェンホアはそこでようやく「昼は僕とワン・ホンにご馳走させてくれ」と用件を切り出した。  

ワン・ホンとウェンホアはともにレスターを上司に持つ同格の同僚で、給与福利厚生面を担当している。レスターのには採用部給与部総務部のほかに、ここしばらく部長が不在のままになっている社員教育及び成績管理部がある  

ララは満面に笑みをたたえて言った 

ありがとうございます。今日はどうしてこんなにいことがあるのかしら」。  

   

「いやいや! 実はずっと食事に誘おうと思っていたんだが、ちょっとまでワン・ホンはプロジェクトだか何だかで忙しかったし、彼に時間ができれば僕が出張、君は我々に輪をかけて忙しかっただろう。三人で集まれる機会をずっと探していたんだ」  

その日の昼、人は四川料理の名店、江南(South Beauty)で会食した。ワン・ホンが選んだ料理はどれも絶品であった。日本への出張から帰ってきたばかりのワン・ホンは先輩風を吹かせつつも、通り一遍の話題ではあるがララに話しかけるなどして好意的な態度を示した  

ワン・ホンは成都出身で、大学は上海で学んだ。若い頃は無口真面目一方の男で、大学を出ると早々に一緒に上海の大学に進学した高校時代のクラスメートと結婚した。  

  

ワン・ホンの結婚はロマンティックなところは何もなかったが、彼はに大変満足しており、生活満足度が高い層に属している。彼はもともとロマンス興味がなく、数字と数字を使って測れるものを信仰していた  

  ワン・ホンは生まれつき色白でふっくらと柔らか肌の持ち主だ。一日中エクセルのシートにびっしりと並んだ数字を追いかけているため、給与部長にありがちな強度の近視眼鏡をかけている。典型的な外資系企業のC&B(給与福利)部長であ彼の強みはデータ分析だ。分析の手腕に優れている反面、人や物事数字で判断するためやや融通が利かないところがあった年齢はウェンホアとほぼ同じ三十代半ばだが性格はかなり違う。社内のある部門ワン・ホンはあまりに堅物だと陰口を言う者があり、かつて一人の社員大いに腹を立てて「ワン・ホンとコミュニケーションできない」とレスターに不満をぶつけたこともあった。だがワン・ホン人間関係が特に悪いというわけでもない。なぜなら彼自身に悪意はなく、何事においても数字だけを根拠として賛成反対かを表明するのみで、なんら他意はないからである三十代半ばの部長としてはいささか杓子定規に過ぎるが、彼とてコミュニケーションの重要さは十分に理解している。実際にこの欠点彼の昇進を妨げたばかりか出世競争で大きな挫折を味合わせたこともあったからだ  

彼は過去の苦い経験を教訓として、二年前にレスターに採用されたとき自分自身に二つのルールを課した。、彼の強みはスキルである。第二、コミュニケーション能力が低いという弱みは変えられなくても、レスターとだけは常に良好なコミュニケーションを保つことが必須だ。他の誰とうまくいかなくても構わないが、レスターとの関係だけ絶対になおざりにできない。  

  

れが成功を導く方策であることは以下のように説明できる第一に、人間の体力と気力は限界がある。一つの事柄集中すれば事柄がおろそかにならざるを得ない多くの精力を傾けてWeakness(弱み)Strength(強み)に変えるより自分の強みをさらに発揮する方向に力を入れるほうがより高い成果を出すことができる。端的に言えば、人は得意分野で勝負するべきなの第二に、人間の注意力には限界がある。何もかも完璧にこなせない以上肝心なところに集中することが重要社内考査の合格点に達しているか、能力が高いかどうかその評価の八〇あるいはそれ以上高い割合で直属の上司が判断を下しているのである。たとえ世界中の人々から優秀だと言われても、直属の上司が問題ありと判断すれば十中八九問題がある。一言で言えば「ポイントを外してはならない  

   

ワン・ホンは上述の方針に従、自分自身に明確な位置付けを行った。自分は今より高いポストは務めきれない、人事部のよう常に人と話し合うスキルが求められる仕事はしたく。給与部長として地道におとなしく働き数字を相手にして分析の技術で食べていくのが合っている彼のこの態度をレスター非常に気に入ったレスターが必要としているのは、しっかりと仕事をこなし自らの本分をわきまえ給与部長。ワン・ホンもレスターが自分を引き立ててくれた恩に感謝し忠誠を尽くしたこうして二人息の合う上司と部下となった。ワン・ホンが得意とする事と苦手とする事がレスターは手に取るようにわかり、ワン・ホンもレスターが重視していることは何かを以心伝心で理解してポイントを外すことなく遂行した  

 ワン・ホンはララが昇進を直訴した話を噂に聞いてはいたが、彼の杓子定規な考え方に照らせばこれは合理的でプロフェッショナルなやり方到底言えなかった。もしこれが彼女のsuccess story”(出世物語)なってしまうのならそれはもはや“story”(物語)ではなくlegend”(伝説)と呼ばれるべきだ。  

 

そこで彼はわざわざ著名なコンサルティング会社であるHEWITTとMERCERの最新データから平均的な総務部長のキャリアを調べてみた。上海の人材市場には十五件のサンプルデータが見つかった多国籍企業の総務部長は平均データによると年齢四十歳以上・当該部門で勤続五年・当該職種の経験約十年・職歴二十であったしたがって、ララは少なくとも現在のポストをあと三年は務めなければ昇進考慮できない。なぜならDBの総務部長は少なくとも市場平均より高い条件を備えているべきだからだ  

  

しかし、彼がうっかり忘れたのかわざと無視したのかわからないが、年齢や経験年数にするデータは調べたものの、総務部長の主な職責に関する資料を閲覧することはなかった。つまり、ララにどんな仕事ができ、れほど重要な仕事をこなしてきた経験があるかを考慮しなかったのである。ウェンホアが遠回しにララに昇進の可能性があることを伝えた時、ワン・ホンは信じないばかりか気にも留めなかった。彼はそが本当なら、ララにあまりに都合がいい話だと思った。 

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