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GO! ララ、GO! (6)

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六 予算とスケジュール

 DB中国の社長はハワード・ハーマン、中国名はホー・ハオダ〔何好德〕である。彼の在任中、DB中国の業績は着実に成長していった。中国市場の貢献はアメリカ本社に大いに注目されるところとなり、CEOのジョージ・ゲイツは再度訪中することを決定した。

 これはハワードの将来にとって極めて重大な出来事であり、もし、CEOが中国市場に手ごたえを感じれば、取締役会は中国DBに対する投資を加速し、DB中国はさらに豊富なリソースを得てよりよい業績を上げることになろう。

ハワードは在任中にDBを中国市場の業界トップにしなければと野心に燃えていた。彼は一連の指示をだし、CEOの中国訪問を迎える準備を始めた。当分の間、「行幸」の準備が各部門の最重要業務となった。「行幸」プロジェクトにおいて、今までは地味でさほど重要でなかった総務部はDB中国上海オフィスのリフォームという重大な任務を担った。

レスターはこの業務に予算をどのくらい準備すべきかとローズに尋ねた。
 ローズの回答は四百五十万であった。
 レスターはそこでハワードと財務担当副社長ピーター(Peter-K、中国名はコー・ビーダ〔柯必得〕)に四百五十万ほど準備する必要があると報告した。

ハワードはレスターから「このプロジェクトには必要な日数は?」と尋ねられ、その問いをそのままローズに投げると、彼女は「六か月です」と答えた。レスターはそれをそのまま右から左にハワードに伝えた。ハワードは「OK、では六か月で」と快諾した。

 レスターが会議に出席するため広州オフィスに出張したとき、急に思いついてテストをするようにララをこう尋ねてみた。

「もし上海オフィスのリフォームプロジェクトを任されることになったら、どれだけの予算を申請するかね?」

 ララはしばらく黙って考え込んでから、確信に満ちた口調で「七百五十万ですね」と言った。

レスターは非常に驚き、「根拠は?」と慌てて尋ねた。

 ララの説明は論理的だった。

「上海オフィスの現在のインテリアは五年前のスタイルで設計されています。今回のリフォームで内装デザインはかなり変化すると推測されます。パーテーションも大部分は変更になるでしょうね。機械、電力、消防設備なども配線とシーリング工事をやり直すことになります。上海オフィスの什器はすでに八年以上使用しており、減価償却期間はとっくに過ぎています。さらに電話交換機システムはすでに十年前のものでメーカーが推奨している使用年限を大幅に超過しています。これを動かさなければはまだいいのですが、少しでも動かすと、システムに不具合が出るかもしれません。オフィス家具と電話交換システムは新しくしなければならないでしょう。現在の面積は四五〇〇平米で、賃貸借契約更新は一般的に二~三年が賃借期間です。私の知る限りではDBの中国での業務は明らかに拡大傾向にあります。今後二~三年の動きを考えれば、おそらく既存のオフィス面積を十%ほど拡張することになり、総面積は五〇〇〇平米ほどに達します。以上をまとめますと、一平米あたりの価格は理論上では約一五〇〇元になるでしょうから、予算は七百五十万くらいになるはずです」。

レスターはララのこの詳細な分析を聞いて、全身に冷や汗をかき、心中はひそかにまずいことになったと思った。

 彼は気持ちを落ち着かせてさらに尋ねた。

「では、プロジェクトが完了するまでにかかる時間はどのくらいになる?」

 ララは自信たっぷりに言った。

「DBの業務フローに基づきますと、アメリカ本社の土地不動産部門はこういうプロジェクトにはかなりコミットしてきます。上海オフィスのリフォームといった大規模工事は単にアジア太平洋区の許可を得るだけでは正式なプロジェクトとして立ち上げることができません。最終的にはアメリカ本社の土地不動産部門の審査にかけて、許可を得る必要があります。それに、稟議が通るまでの過程で多くの部門が関わってきます。たとえば法務、仕入れ、IT、財務、これらの部門間調整にも長い時間がかかります。通常の場合、アメリカ本社ではリフォームプロジェクトを九か月で完了するように推奨していますが、その内訳とは実際の工事にかかる期間は三か月程度、プロジェクトの前段階で分析と調整にかかる時間がおよそ六か月です」。

 レスターはララが短時間に仕事を身につけたことを褒めながらも、上海に帰ったらすぐにローズと話をしようと心に決めた。

彼にはララの話が十中八九正しいのだということが分かっていた。彼女の表情からは正直さと真面目さが読み取れたし、それに彼女の話は明快でストレートであり理路歴然としていた。まさにプロの話し方だったのである。

レスターは、しかしララの専門知識は少なくとも現段階においてはローズにはかなわないことをよく承知していた。このような重要なリフォームプロジェクトの、しかも予算とスケジュールという最も重要なポイントについて、ララでさえ予算の大きさや期間の長さを計算できるのにローズが間違えるわけはない。それならローズは故意に不正確な数字を挙げたのか。いったい何を要求したいのか。あるいは会社を辞めたくなったのか。さもなければ説明がつかないではないか。レスターは、どうやらローズが欲しがっているものを与えなければ仕事が進まなくなりそうだと考えた。彼は直ちにここはとりあえずローズを満足させてやろうと考えを決めた。

レスターは上海に帰るとすぐにローズを呼び、満面の笑みを浮かべてローズを迎え入れた。

HiRose! I have a good news for you(ローズ、グッドニュースがあるよ)Horwardはたった今君のpromote(昇進)を許可した。総務部副部長から総務部長へ昇格だ。これは会社が君の専門性と貢献を認めたからだよ。おめでとう!」

 ローズは天にも昇るような心地で「まあ、ありがとうございます!」と答えた。

レスターはまた「You deserve it!(君にはその価値がある)、announcement(辞令)はもう準備できている。今日、私から全社員に発表するよ。引き続きチームで頑張ってくれ。さらに良い成績を期待しているよ」と言った。

「必ずご期待に添います!」、とローズは力強く言った

 レスターは「君の給料は今月から三十%アップだ」とウィンクしてみせた。

 ローズは何度も頭を下げた。

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