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GO! ララ、GO! (7)

 

細かい話は聞きたくない? 

 

 レスターとローズプロジェクトの要点についてミーティングを行うことになった。メイン・イシュー(主な議題)はCEOを迎える準備についてである。レスター常になくプロジェクトのタイム・テーブル必要経費明細をローズに要求した  

   

 これまで一貫して仕事の細部に口出しをしない方針で、ローズは結果さえ報告すればよかった。人事出身総務について詳しくないばかりか、理解しようとすらしな彼は総務担当の部下であるローズを信頼することにしたのであるつまり、中国人がよく「人を使うなら信じろ、信じないなら使うな」である。しかし前回のことを考えると慎重にならざるを得なかった。もし今度なにか手抜かりがあったら下手をすれば「身の安全を脅かしかねない。そこで思い切ってローズに質問してみたのだ 

  

 レスターローズにこう説明した。今回のプロジェクトこれまでと違い、ハワード非常に重視しており、しい内容についてDB中国のマネジメントと話し合っておきたいとのことだ。こで、あらかじめローズと二人で詳細について検討し、その結果をDB中国のマネジメントに報告する。   

 ローズは自信たっぷりに宣言した。もちろん細かい点も準備済みで、あと一週間ほど細部を詰めてから詳細なプランを作成して持ってくるのでまた話し合いましょう、と  

 

 レスターさらに作成した現時点の資料では、予算四百五十万、プロジェクト期間六か月、とあるがこれで問題ないか?」と尋ねた  

    

 ローズは確かな口ぶりで言った。  

「大きな問題はありません。この二年で行った広州と北京のリフォーム費用はどちらも百五十でした。両オフィスとも面積は約千五百平方メートルでから、一平米あたりのリフォーム単価は千前後になります。今回の上海のプロジェクトは、私の計画ではオフィスのレイアウトをなるべく動かさず、既存の機械設備と高電圧装置ほぼそのまま利用すれば、四百万の予算でも足りるはずですまた、広州と北京のリフォームには六か月かかりましたが、上海は資材調達しやすいので工事の終了まることはあっても遅くなることはないと思います」。  

 

 ローズが滔々と述べる破綻のない分析を聞き、レスター少し考えてから言った。  

「それならよかった。ではこのプロジェクトの詳細業者見積もり添えて提出してくれ。それを予算請求の根拠にするから。君が経験豊富なことはよくわかっているが、完成イメージ図を添付して提出すればマネジメントもって前もってそれぞれの業者のスタイルがわかる。業者の選定も速やかにできるだろう」。  

 ローズはレスターの考えを敏感に察知した。レスター彼女が作成した予算に根拠があるのか、プランに遺漏がないか心配している。だからこそ、プロジェクトのすべての詳細をリストにして出せと言ったり、プロジェクトに関連するすべての項目に価格表を添付するよう要求したりしている。そうすることで自分を安心させようとしているだ。だが同時に部下に反感を持たれることも恐れて、上層部早めに決定させるためという口実を持ち出した  

  

 ローズは内心ではわかっていた。会社の上層部どの業者のプランが自分たちの期待最も近いかを完成イメージ図判断するのは当然のことだしかし、彼らに細かい予算配分までチェックする時間などあるわけがない。高電圧設備はいくらで弱電設備はいくらだと討論する社長がどこにるだろうトップマネジメント「このプランが気に入った、これでいこう!と言うだけだ。予算と工期の大体のところはすでに聞いてるはずだし、上に持っていくプラン報告済みの予算と工期の範囲内で作成している。のプロジェクトを実際に担当する部門が最初は四百五十万で足りると言っておいたにもかかわらず、後から足りなくなったから八百くださいと社長に要求するなんて、絶対にあり得ない。レスターだって上層部に自分の部下である部長が四百五十万と言ったのは間違いだったと言えない。そんなことを言えば、本部長である自分の判断を問われるに違いないのだ。 

   

 ローズは心の中でボス、あなたって人はいつも本当に私が何の知恵がないと思ってるのね」とつぶやいた  

    

 ローズ心中の様々な思いを隠して何事もないように答えた  

「問題ありません。すでにいくつかの業者と話をしています。マネジメントのほうで、どのプランにするか大体決まったら、資材調達部門と再度値引き交渉してみます」。  

 

 このミーティングでレスターは少し安心した。このプロジェクトに関しては以前のように部下に任せて放っておくことはしないローズにどんな細かいことでも自分と話し合うように要求しようと決意した。今回は万に一つの失敗も許されない。 

   

 レスター予算と工期の報告を受けたときに最初からそしなかったことを非常に後悔していた。以前と同様にローズに「結果」だけを報告させ、その「結果」を出すまでの「詳細とプロセス」について質問しなかったことが悔やまれた  

 

 一週間後、ローズがレスターに提出したのは、予算四百五十万、工期六か月のプランだった。   

   

 ローズのプレゼンテーションには破綻がなく、レスター何の欠点もないように聞こえた。彼はスライドをしばらく見つめ、振り返って、彼が指名して会議に参加させたIT部長に「君の意見は?」と尋ねた。  

 

 IT部長はDBに入って日が浅く特に具体的な意見はなかった。  

 

 レスターはこの状況を見て、ローズを信じるしかなかったが、広州でララに聞いた交換機の問題を思い出して、唐突にローズに尋ねた。 

「我々の交換機は何年使ってる?」。  

 

 ローズはレスターがこんなに具体的な質問をしたことに少なからず面食らったが、一瞬間をおいて「十年です」と答えた。その回答を聞き、レスターは続けて「推奨耐用年数は?」と質問した  

  

 ローズはありのままに答えるほかなかった。「八年です。ですが、日ごろからしっかりメンテナンスを行っていので、何の問題もなく動いています。あと二、三年は問題なく使えるはずです。財務から予算はできるだけ削減するように言われているので、このシステムを交換する予定はありません」。  

 

 レスターさらに質問を続け。「もちろん予算はできるだけ抑える。しかしリフォーム工事のときには設備移動するんだろう? システムに不具合が出る可能性はないのか?」。  

  

 ローズは意見を曲げなかった。「私のプランでは、機械室の移動ありません。交換機も同じ場所ままです」。  

 レスターは意見を求める目でIT部長を見つめたが、は交換機についてあまり詳しいことがわからず何も意見を言えなかったのでレスターは諦めるしかなかった。彼の疑問についてすでにローズの回答は聞いたが、どうもすっきりしない感じがした。   

   

 長いこと考えてから、「ローズ、君が専門家だということはよくわかってる。しかし非常に重大なプロジェクトなので、一つだけ確認しておきたい万が一システムに不具合が出たときに予算がなかったらどうするつもりだ?」。  

    

 ローズは臆することなく滔々と説明した  

このシステム自体、さらに容量を拡張できる能力を備えてます。一部のハードウェアが故障したとしても、例えばどこかの基板に不具合が起きたら、現在使っていない基板を故障した基板と交換できます。一歩譲って、現在ある予備部品を使い尽くしたとしても、キャビネットを追加すれば問題ありません。その程度の出費たかが知れています。それにこちらにはメンテナンス会社と交わした今年の保守契約があります。もし本当に問題が起こったら、彼らは臨時に代わりの設備を提供し、我々の日常業務を保証しなければならないことになっています」。  

 レスターはしばし沈黙をしたのち、突然ある質問をした。「もし新しいシステムに交換したら、いくらかかる?」。   

 「五十数万でしょう」。  

 

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