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GO! ララ、GO! (4)

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四 上司と協調性を保つこと

  ララはチャンからは問題解決のヒントを得られず、自分の頭で考えるしかなかった。

  彼女はヘレンに命じて上海の総務報告書の書式を取り寄せた。検討の結果、広州オフィスで使用しても差し支えないことを確認してから、広州オフィスで使っていた書式を廃止し上海オフィスのフォーマットをそのまま使用することに決めた。この措置はララのもくろみ通りローズの歓心を買った。ローズの使い慣れた書式を用いたのでデータをチェックするのに今までよりずっと便利になり、部下が自分についてきているという満足感も味わった。

 ララにとっては、ローズが自分自身の推奨している書式にけちをつけることはあり得ず、書式が気にいらないというだけで叱責されるリスクを避けることができる。これこそ典型的なWin-Winの関係だ。

  唯一不満だったのはヘレンだ。彼女はもとの書式に慣れていたので、新しい書式に慣れるのに時間がかかり、細かくびっしりと書かれた表を見ただけで、数字に弱い彼女は頭がぼうっとしてくる。今まで何の問題もなかったのになぜ変更する必要があるのか。内心で思わずララの靴磨き(広東方言、「ごまをする」の意味)をさげすんだ。

  ララはヘレンが心中では自分に不満を感じていることを察して、彼女を自分のとなりに座らせて聞いた。「もしあなたがローズだったら、事務所の月度報告書がいろいろな書式で出てくるのと、同じ書式に統一されているのと、どっちがいい?」。ヘレンは考えもせずに「それはもちろん統一した書式が便利ね」と答えた。

「統一の必要があったら、あなたは自分が使い慣れた書式がいい? それとも使い慣れない書式の方がいい?」。

 「もちろん自分が使い慣れているものを選ぶわ」とヘレン。

 「ということは、ローズも自分が使い慣れている書式のほうがいいわよね」。

  ヘレンには返す言葉がなかったが、しばらくは気がおさまらず、また不服そうに言った。

  「私たちの元の書式のどこが悪いっていうの。変更したせいで慣れるまですごく時間がかかる」。

ララは笑いそうになるのをこらえて、一つ一つ順序だてて諄々と教え諭した。

「頑張って一日も早く昇進してもっと重要なポストにつけば、部下はあなたを尊重して上司と協調してついてくるはず。現在の部長はローズなんだから仕方ないでしょ?」。

  ヘレンはまだ文句がありそうだったが、ララは彼女に年初に設定した社内考査目標の「行動」欄に記載された全従業員の考査基準項目のひとつを指し示した。

 「上司との協調性を保つこと」。

 ララはヘレンにその欄に自己評価として記録しておくように言った。

 「年度末の自己評価のときには、今回の件を自分のグッド・パフォーマンスと会社への貢献の例として書けばいいわ」。

  ヘレンはこういうpaperwork(報告書作成)がいちばん苦手だった。というのも、会社の基本的なカルチャーについてこれまでずっとよく理解しないままで、年度末の自己評価報告書は仲の良い同僚に懇願して手伝ってもらっていいかげんに提出していたのだ。課長と一年を振り返る面談をする際にも、彼女はひたすらうなずき続けてやり過ごしてきた。ララにこう言われてみると、ヘレンはもっともだと思い、書式変更は面倒ではあるけれど、この件で「上司との協調性を保つ」意味を理解でき、また目標を達成した実例を示すこともできる。これなら十分に割に合う。彼女は急いで自己評価として記録を残した。

  ちょうどその頃、レスターが広州オフィスを訪問した。ララは彼のお供をしてあちこちを見て回り、その間に何度か機会をうかがってローズに対する見解を探ろうと思った。レスターは部長全員の名を正確に憶えていて、いかにも大物経営者のように人々と力強く握手をし、肩をたたき、さわやかに大きな笑い声をたてた。彼とあいさつした従業員たちも彼につられて楽しそうに笑う。ララは内心では不思議でしかたなかった。会社の上層部は年に何度もSC(サウス・チャイナ地域)に来るわけではないのに、どうしてこんなに多くの部長の顔と名前を憶えているのだろう、会社の幹部はみんな天才なのだろうか。

  ララがレスターと一緒にオフィスの奥まで来たとき、一人の部長がレスターを見かけてあわてて出迎えに来た。レスターは見覚えがある気がした。おそらく重要な役職の部長だろうとは思ったが誰なのか思い出せない。すばやく頭をわずかに傾け、ささやき声で「Who’s this guy? (あの人は誰だっけ?)」と尋ねた。

ララはすばやくささやいた。「Jack Qiu, Key Account South RSM (SCリージョン大口顧客部部長のジャック・チウです)」

 レスターはその人に向かって大股で近寄り、スマートな身のこなしで出迎え、右手を伸ばし、力を込めてしっかりとジャック・チウの手を握った。左手は同時に彼の肩を軽く叩き、ハワイの太陽のようにまばゆい笑顔で“Hi,Jack!How are you doing?”と声をかけた。

 ジャック・チウは人事本部長がこんなに自分のことを憶えていてくれたことに大喜びして、慰労の言葉も聞かないうちに、顔をほころばせて、“I am fine, thank you!”と繰り返した。

 ララはその様子を目の当たりにして面白くて仕方なかったが、顔には出せずただ微笑んでいた。そして内心でローズに対するレスターの見解を聞くのはやめようとひそかに決心した。

  レスターはララのために特別に三十分間の時間をとって、二人きりで彼女が課長になってから数か月間の状況について報告を聞いた。ララは、ローズが何でも教えてくれ、仕事は非常に充実していると答えた。

 レスターはしきりにうなずきながら言った。「ローズは仕事の経験が非常に豊富だ。私は君が今のポストに満足していることをうれしく思うよ」。

 ララはベストなやり方を見つけられず、ローズとは「上司との協調性を保つ」ほかなかったのだが、それ以外にローズが自分で管理しようとすることは何かを徹底的に研究した。こうして上司の頭の中にあるルールを見つけ出してからは、どういうときにローズの指示を仰ぎローズの考え通りにする必要があるのかがわかるようになった。ローズに部下にわざとミスを犯させてスケープゴートにしてやろうといった意図でもないかぎり、自分からは決して口出しをしないと決め、ひたすら言うとおりに働いた。ローズが興味を持たないことやたいして価値のないことは自分で適切に処理してローズの手を煩わせることはない。逆に、ローズがしっかり握って手放さないこともあったが、自分が何か提案できるときには役に立つ情報を積極的に提供し、ローズの判断材料とした。こういうやり取りを何度か繰り返していくうちに、ローズから恐ろしい電話がかかってくることもほぼなくなった。

 

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GO! ララ、GO! (3)

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三 ボスにとって重要なのは誰?

 時は流れ、ララがDBで働き始めてからはや二年あまりとなった。
 大学時代に自転車で女子寮の入口まで毎日ララを迎えに来ていた院生のボーイフレンドは、幸運にも会社から海外に派遣され、現地にとどまることを望んだ。しかしララは外国に住むことに消極的で、意見を異にする二人の関係は徐々に自然消滅した。
 六歳年上の彼はララをこう諭した――愛とは試練ではなく二人で育むものだ。遠く離れているよりむしろ早く終わらせたほうがいい。
彼はまたララの身になって考えてもくれた。「女性の青春は短い。不確定要素が多すぎる恋愛はリスクが高い」。ララは彼の言葉にしたがい、二人は票決の末に満場一致で別れることにした。
 終わらせる決断は始める決断よりも難しい。特に終わりがそれまでの七年を消し去ることを意味するとき、たとえ惰性で付き合っていた相手でも、未来が急に茫漠たるものに変わったことがララには辛かった。院生の彼は「どんなことにも二面性がある。楽観的な面を見れば君はこれで自由になる。よりよい選択をする可能性が生じたんだ」とララに言い聞かせた。
 自由! 自由に憧れぬ者がどこにあろう。詩人のペテーフィ・シャーンドル〔Petofi Sandor、ハンガリーの愛国詩人(1823-1849)〕はこんな名言を残した。「生命は尊く、愛の価値はさらに高い。しかし自由のためならばこの二つを捨ててもかまわない」。
 十八のころから、六歳年上でしかも物事を深く考える男性と付き合うのは、時には精神的な負担になる。これからは何でも自由に考えてもかまわないと思うと、別れの辛さが本当に和らぐ気がした。
 彼はさらに「カレンダーに毎日印をつけるといい。三か月分の日付に印がついた頃には平気になっているから」といった。苦痛にも期限があると思えば、哀しみのさなかにあってもいつか抜け出す希望を持つことができる。一日ごとに苦痛から遠ざかっていく、三か月辛抱するだけでいい、それがわかっただけでララは怯える必要はないことを確信できた。
 院生の彼はSWOT分析(強み、弱み、機会、脅威の分析)を応用してララを説得することに成功しただけではなく、「いろいろなサークル活動に参加するといい。良い方向への進展が加速されるはずだ」と、第三の作戦を提案した。ララはそれに従う気にはなれず、「サークル活動はお金がかかるから家でテレビを見るか本を読んでいたほうがいい」と反論した。
 DBの「プチブル」つまり「貧乏人」として、「自由」を得たララは、働き始めてから五年で少しずつ貯めた十二万元を頭金にして、八十平米のマンションの頭金三十二万元を支払った。これで賃貸生活も終わる。毎日バスで通勤し、年収の三分の二を返済にあてれば五年でローンを完済できる計算だ。
その頃、DB広州オフィスでは総務課長のポストに空きが出てreplacement(補充)が必要になった。HR(人事部)からララにそのポストに就く気があるかどうか打診があった。
 ララに白羽の矢が立ったのは、ララの能力と責任感がすでに誰の目にも明らかだったからだ。広州オフィスで働き始めて二年、このオフィスのスタッフにも仕事にも詳しい。それに、総務課長には英語の能力が高い人材が求められた。ララの英語力はDB広州オフィスで一番とは言えないものの、かなり上のほうだったのだ。
 ララはまだ会社の営業部門と補助業務部門の違いを天秤にかける術を心得ておらず、営業部門という主流に入ってこそ順調な昇進が約束され窓際族にならずに済むことを知らなかった。ララにわかっていたことは、課長はアシスタントよりも上だということ、さらにアシスタント全員が職能部門の課長になれるわけではないということだけだった。
 当時のララはセールスアシスタントを二年間つとめ、八パーセントのベースアップを二度経て年収は七万元になっていた(年末の一時金は三か月分)、総務課長になれば年収は一気に八万五千元にアップする。これはララにも容易く計算できた。
 こうしてララは広州美人ヘレンの上司になり、DB中国総務部長補佐のローズという上海美人の直属の部下となった。
 ローズは妖艶な美女で、甘ったるい声で喋った。ララも甘い声だったがローズにははるかに及ばない。ララもそこそこの容姿ではあったが、なにしろ上司も部下もとびきりの美女なものだから、すっかり色あせてしまった。
 ララが課長職に就くとすぐ、広州オフィスにリフォームの計画が持ち上がった。彼女は会社の業者選定マニュアルにそってサプライヤー三社に見積もりを出させ、二週間かけて比較と交渉を行い、最も満足できるプランをローズに提出した。しかし思いもよらないことに、ローズは有無を言わせず上海から業者を指定してきた。ララは上司の命令に従ってその業者と商談をした。
 リフォームは細かな部分が試される仕事だが、このリフォーム業者のプランはミスだらけだった。設計図を作成した人間が現場できちんと測量していないことは一目瞭然である。一例を挙げれば、オフィス内某所には大きな柱がある。ところが業者の設計図で示されたレイアウトにしたがって家具を注文すると、その位置にはそもそも何も置けない。結局、新たに買い直すことになってしまう。また、図面上ではコンセントは床上4センチの位置についているが、その場所に置く予定の家具の化粧板で床上3センチの位置まで覆われてしまう。もし設計図通りに施工するとコンセントが化粧板で塞がれてしまい、コンセントを使う際にはまずデスクをどかさないといけない。本当にそんなことになれば、総務部は今後このオフィスを使う部門からどれだけ文句を言われることだろう。
  ララは業者を問い詰めた。「どうして二部屋にまたがる空調のスイッチを外廊下に設置しないんですか? 廊下にあればこの二部屋で執務する二人の部長どちらも空調を調節しやすいのに、スイッチをここにしかつけなかったら、隣の部屋の部長はそのつどこっちの部屋に来ないと操作できないじゃない! 不便すぎる!」。
 業者は何とか言い逃れようとした。「多くの企業で片方の部屋だけに共有スイッチを設置することで納得していただいています。スイッチを外廊下に設置するなんて前もって聞いていませんでしたから」。
これを聞いてララは怒った。いったいどちらがリフォームの専門家だ。金だけとってまともな仕事もできないって、一体どういうこと? いい加減なことをしておいて、それを指摘されたら屁理屈ばかり言う!
 ヘレンはララにすりよってきて、この業者が以前に広州オフィスでした仕事は非常に質が悪く、どの部門も不満だったと言った。彼女はララをともなって、この業者が以前に請け負った荒い仕事ぶりを見せに連れて行き、この業者を追い払うよう勧めた。
 ララは深く考えず、自分が感じたこととヘレンから聞いたことをそのままローズに伝えた。するとローズは怒りを露わにして、あらゆる言葉を使ってララをひどく叱責した。だが、下品な言葉は一切使わなかった(グローバル企業文化では全社員を尊重することを強調しているので、相手を口汚く罵ることは許されない。そういうことをすれば、社風になじまないとされる)。ララはすっかり萎縮してしまい何が悪かったのかもよくわからなかった。
 結局ララは電話口で米を啄ばむ鶏のようにペコペコと頭を下げ、ローズが選んだ業者こそ正しく、ララは指定業者とコミュニケーションを密にして工事の質を確保するべきだという結論に至った。
 ララが話を聞き入れると、ローズはおだやかに「ララ、ごめんなさいね、異動してきたばかりなのに仕事に口出しして」といった。ララは慌てて彼女の言葉を遮った。「いいえ、私は異動してきたばかりでまだ慣れないことばかりです。いろいろご指摘いただけるおかげでミスをおかさずにすみます」。
 ヘレンは受話器を置いたララの顔色が冴えないのを見て悪知恵を働かせ、一緒に怒っているふりをして火に油を注いだ。
 「ララ、この業者を使って工事に問題があったら、その時責任をとるのはあなたなのよ!」
 ララは何度もこういう憂鬱な目に合わされ、常に仕事の進め方に迷い非常に悩んでいた。ローズから電話がかかってくると、また何かミスをして怒られるのではないかと緊張してしまう。
 目下の問題は、彼女がどの問題は指示を仰ぎ、どの問題は自分で決めるべきなのか、会社の企業ポリシーが許容する範囲において、いったいどのようなことがマニュアルに沿ってさえいればよいのか、どのようなことがローズ先輩の専門的な経験に従って行わなければいけないのか、を適切に判断できないことだ。時には指示を仰ぎすぎて、ローズに「ララ、私は忙しいの。あなたは広州オフィスの総務課長補佐なんだから自分で決めてもらわないと」とさも煩わしそうに言われたこともあった。そこでララが自己裁量で仕事を進め、結果だけ報告すると、ローズの怒りの電話がまたかかってくるのだった。たった一つララにできることは「ゲームのルールが分からないうちは、ひたすら耐えろ」と自分に言い聞かせることだけだった。そしてローズに叱られるたびに、ララは「おっしゃる通りです」などと言って何とかその場を逃れるのが常だった。
 しかしローズも時には穏やかな口調で、「ララ、あなたが前にいた台湾企業では上司には絶対服従だったかもしれない。でもここはアメリカの企業よ、DBの社風はopenで、直接コミュニケーションすることを提唱しているから、何か考えがあるなら何でも言って。皆で話し合いましょう。びくびくしなくていいのよ」と言った。ララは心の中で「あなたと直接コミュニケーションなんて、滅相もない。逆に面倒が起きるだけよ」と思った。だが、ひたすら「おっしゃる通りです」では根本的な問題解決にはならない。ララは直接コミュニケーションしないならしなくてもよかったのが、ローズと付き合っていくうえでのルールはどうしてもはっきりさせなくてはならなかった。
 ローズの部下には三人の課長がいる。上海オフィス総務課長は無能なイエスマン(あるいは無能なイエスマンのふりをしている)、広州オフィス総務課長はララ、残る一人は北京オフィスのワン・チャン総務課長(チャン)だ。
 ララは北京のチャンに横の連携を強めるという口実で電話をかけた。彼女がローズとどのように仕事をしているのか探りを入れるためだ。チャンも実はかなりひどい目にあっていて、二人は同じ思いを共有する者どうしで愚痴をこぼしあって思わぬ長電話となった。
 しかし受話器を置いて話した内容を整理すると、価値のある部分は多くなかった。分かったのはローズがチャンに対しても同じような態度であることだけだった。
 チャンはDBに入ってまる三年になるが、ローズの部下になってからはまだ日が浅く、彼女によるとララの前任はローズとそりが合わず、ローズがレスターを言いくるめてクビにしてしまったのだという。
 チャンはララにこう言ってそそのかした。「私一人が不平を言えば、レスターは私に問題があると思うかもしれないし、ローズに問題あると思うかもしれない。でも私とあなたの二人でローズに問題があると言えば、きっとローズに問題があると考えるに違いない」。
 チャンの理屈はララにも理解できた。しかしララは頭越しにレスターに訴える、つまり職階を超えて告発することは外資系企業では最も避けるべき行為のひとつだと思った。ララが六年間働いてきて目にしてきた告発の多くは失敗に終わった。表面的には勝利したように見えても長い目で見ればやはり敗北なのだ。
 外資系企業の人事制度における上部告発制度は防止と警告としての役割が大きく、上の立場にある社員の自己規制のためにある、とララは考えている。制度にしたがって実際に上司を告発する手続きをとっても、自分の将来を犠牲にして企業のオープンな社風というイメージを守るだけだ。告発自体には公正な結論が下される可能性が高い。訴えられた上司はむろん重傷を負う。告発した本人の将来はどうだろう。誰も自分の上司を告発した人間を重用したいとは思わなくなる可能性が高いに違いない。ララは、異動したばかりで告発という最後の手段を使うのは時期尚早だ、どうにかしてローズと上手くやっていかなければ、と思った。
 それに、ララはなんとなくだが、本部長のレスターは部下のために公正さや是非を判断することには興味がなく、それよりも部下どうしがよく協力して彼の手を煩わせないことを望んでいるように感じた。ララの予感は彼がチャンのメールをローズにそのまま転送したことで明らかになった。
 レスターは六十歳近いアメリカ人でDBに勤務して二十数年、中国に来てからはまださほど経っていない。彼は中国で退職まで安穏に乗り切ることを最大の戦略目標に据え、安穏の二文字を最優先している。彼はできる限り決定を避けた。何かあればいつも部下の部長に各部門と連絡をとらせ、できれば関係ない部門まで巻き添えにして、順番に本部長の意見を聞いて回り、最後に組織としての決定を下した。変化に直面すると彼はいつも先延ばしにし、可能な限り全ての状況がはっきりしてからwhich way to go(方向性)を決めるのだ。
 ララが課長に昇進したばかりの頃、上海本部に呼ばれてレスターにお目にかかったことがある。ネクタイをきっちりとしめ、髪は少しも乱れず、腰はまっすぐ伸び、若くないとはいえ、ハリウッドスターのようなオーラを放っていた。彼は誰に対しても礼儀正しく、朝出勤して会社に入ると、まず受付にハローと親しげに挨拶して、それからスタッフ全員に声をかけながら自分の部屋に入る。
 レスターにとって、総務部長のローズは総務課長のチャンやララよりも重要だ。仮にローズが辞職したとしても、チャンとララには少なくとも二年はローズの後任を任せるわけにはいかない。これだけは絶対だ。
 DBはララが経験した中で一番良い企業だ。良い、というのは、一に収入、二に環境、三に将来性である。それらの利点の多くは金銭で補えるものではない。たとえば一緒に仕事をする同僚がみんな優秀で専門知識に通じていれば仕事はより楽しく達成感がある。これは形のない福利であるといえる。
 トップ500企業は全世界で500社しかなく、そのうち半数以上はまだ中華圏に投資していない。中国に進出したトップ500企業から労働力集約型産業を除けば選べるものはいくらもなかった。ララにとって、この年収八万五千元の管理職ポストを手にするのは簡単なことではなかった。ローズのような上司にあたってしまったのは大きな幸運の中の小さな不運だ。彼女は何とかローズを避けることもできる。それに一時的な感情でDBでの仕事を失えば、今後DBのような優良企業に転職することは難しいだろう。とにかく、ララがチャンと連絡を取ったのはゲームのルールを知りたかっただけで、協力してローズをやっつけようなどという面倒なことは考えていなかった。ララは怒っているチャンをなだめようとした。しかしチャンは北京の人間特有のプライドと自信があり、ララの忠告をあまり聞き入れなかった。
 ララがチャンと話した内容について考えているとき、ヘレンが様子をうかがうように探りを入れに来て、大きな目をくりくりさせて言った。
 「ローズは経理システムのデータで毎月の通話記録を見てる。彼女はとても注意深いから記録を見ればすぐにあなたとチャンの通話時間が長いことに気が付くかもしれないわ」。
 ララはヘレンのこそこそした態度が気に食わなかった。自分とチャンの電話をなぜ彼女が知っているのか。しかし彼女の忠告が正しいことはララも認めざるを得なかった。ララはもう二度とチャンと危険な話はしない、と心に決めた。

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GO! ララ、GO! (2)

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二 片思いとセクハラ

 ララはDBの部長室は廊下側がすべて大きなガラス張りのパーテーションで区切られていることに気づいた。ヘレンに「このデザインは美観のため?」と尋ねると、「いいえ、sexual harassment(セクハラ)防止のためよ」という答えが返ってきた。

 ララは好奇心にかられて尋ねた。

 「セクハラが起きたことある?」

 「聞いたことない」とヘレンは首を横に振った。

 「万が一、あったら?」「クビよ! 会社の規定あるもの」と、ヘレンはきっぱりと言った。

 ララは何事も忽せにしない精神で追究した。

 「どういう基準でセクハラと判断するの? 本人が恋愛だと言ったら?」「上司のローズ部長から聞いたんだけど、レスター本部長が恋愛とセクハラの違いについて明確に定義したそうよ。恋愛は双方がともに望んでいるけど、セクハラは一方的な願望だって」とヘレンは答えた。

 ララはそれを聞いて笑った。「片思いも一方的な願望でしょ」。

 ヘレンは驚いたように黒目がちな大きな目をくるくると回して答えに詰まった。ララは彼女に近寄りこう冗談を言った。

 「私がその説明に補足しましょうか? 次に新入社員に聞かれたとき言い負かされないようにね。片思いはセクハラに発展しかねない。片思いしてる人が何らかの行動に出て相手を困らせたり危害を加えたりした場合はね。想いを心に秘めてるだけなら問題なし――私が補足した定義は本部長に言っちゃだめよ」。

 ヘレンは感心してうなずき、ララが営業アシスタントであることを内心不思議に思った。彼女は課長でもおかしくない。こんな話し方をするのは課長クラスだ。他のアシスタントは彼女のように意見を言ったり総括したり定義したりしない。  

 ララはガラスのパーテーションを見て考えた。セクハラは予防することが出来るが、独身のマネージャーが社内恋愛をしようとしてもきっとこのガラスのせいで思うようにいかないだろう。

 ヘレンは彼女の気持ちを察したかのように言った。

 「社内恋愛は禁止されてないけど、社内結婚には規定があるの。直属の上司と部下は結婚できない、結婚するならどちらかが異動させられる――でも普通は夫か妻のどちらかが自己都合で退職するわね。社内結婚はめったにないし、特にマネージャークラス以上で社内恋愛してるなんて一度も聞いたことがない」。

 「結婚についても明確な規定が?」

 「もちろん。社員ハンドブックに載っているわ。入社したとき、内容を理解して同意した証拠に手帳にサインしてしたでしょ? 後でよく読めばわかる」。

  ララは社員ハンドブックにそんな内容まで書いてあると聞いて、帰宅してから早速一通り読んでみると、確かに様々な問題に答えてくれることがわかった。

 ララは入社した週に何件かの書類にサインをした。雇用契約のほかに傷害保険受取人指定書類、社員ハンドブック、ビジネス行動規範などがあった。

 ビジネス行動規範とは、社員がすべきこととすべきではないこと、職責怠慢にどんな懲罰があるか等々、その企業の文化が何を道徳的とし何を不道徳的とするのかを会社が公式文書の形式で社員に明確に示すものだ。

 会社が社員のために加入している傷害保険の条項によると、もしララに何か事故が起きた場合、受取人はララの月給の六十倍の賠償金を受け取ることができる。補償の最高額は二百万元以下……―一この条項を見てララは自分が会社の中で最貧困層であることを知った。彼女は月給四千元、つまり賠償金は二十四万元。二百万元と二十四万元の差は割り算をするまでもなく明白だ。それに二百万元は明らかに社内の比較的上のクラスに属しているにすぎない。

 ララがヘレンから得た情報では、会社の課長以下の非営業社員の年末一時金は三か月なので年収は月給の十五か月分だ。部長クラスになると更に二か月分の一時金が部長手当てとして支給され年収は十七か月分になる。部長以上の一時金規程についてはヘレンも知らなかった。

 知らぬが花という言葉どおり、この事実を前にしてララは愕然とした。もともとは平穏な日々を送るつもりだったララであったが、保険契約にサインをしたとき俄然として出世して高給取りになりたいという欲望が燃え上がった。俗に言うキャリアアップ願望だ。

 一時金を除き、各種の福利厚生にも階級ごとの差があった。例えば有給休暇は一般社員が年に十五日間だが、部長クラスはさらに何日か多い。

 また携帯電話の費用はファースト・ライン〔現場スタッフを管理する係長・課長クラス〕は毎月五百元まで、セカンド・ライン〔ファースト・ラインを統括する部長クラス〕は限度額を設けず、通話料はすべて実費清算できる。

 ララは驚いてヘレンに質問した。

 「じゃあ、いくらでも実費請求できるの?」

 ヘレンは事もなげに「そうよ、好きなだけ使える」と答えた。ララは疑わしげに「もし私用電話をかけまくったら?」と聞いた。

 ヘレンはふふっと笑って、「私用電話をかけまくっていいのよ。上司のローズが言っていたけど、これは形を変えた福利なんだって。けど、あなたもそのうちにわかると思うけど、セカンド・ラインには私用電話をかけまくるような余裕はないの。いずれにせよ、出世するほど福利が良くなるのは確か。でも上に行けば苦労も多いわ」。

 それもそうだ、とララは思った。セカンド・ラインには私用電話をかける用事はそれほどないだろう。それに比べると、前にいた香港台湾資本の企業では携帯電話の通信費上限を低めに設定するか、経費精算には明細書を提出させるかしていた。

 ララは密かに思いをめぐらせた。これがもしかしたら欧米系外資企業と香港台湾系企業の差かもしれない。一定の範囲内で社員を信頼して自由を与え、気持ちよく働けるようにする。少なくとも、DBは羽振りがよく鷹揚だ。自分はまだ「好きなだけ通話料を精算できる」福利を享受してはいないが、会社を誇らしく思い、ひそかに喜びを感じた。

 ララはふと思いついてヘレンに尋ねた。

 「ヘレン、DB中国に女性の本部長と地域部長は何人くらいいるの?」

 ヘレンは内線電話の一覧を取り出して数え、「本部長二十四人のうち女性は六人、営業部の業務ラインは三部門、法人顧客部門は五地域に分かれて五人の地域部長がいる、大口顧客部門と一般顧客部門はどちらにも三つの課が所属して地域部長は三人、合計で十一人の地域部長のうち、女性は三人ね」。

 ララは心の中で黙々と計算した。管理職の女性比率はほぼ四分の一弱である。

 ヘレンは「部長が私用電話をかけまくったら」という先ほどの話題を思い出して言った。

  「ララ、地域部長になれるのは健康で精力的な人だけよ。だから少しでも時間ができると、男性ならスポーツで汗を流すし、女性ならエステに通うわ。電話でつまらないおしゃべりする暇はないってこと。そうでなければ地域部長になんかなれない」。

 ララは笑いながらうなずいて賛同を示した。

 もともとゴシップ好きなヘレンはララに会社の階級を区別するための呼び方を教えた。ララがまとめたところによると次の通りである。

 部長以下は「プチブル」、小資産階級の貧乏人である。公共交通機関を利用して通勤する。そうしなければ住宅ローン返済に影響が出る。

 部長クラスは「ミドルクラス」、中産階級だ。最初の家を購入するときにローンを組む必要はない。典型的なファースト・ラインの自家用車は「ボーラ」〔フォルクスワーゲンと中国第一自動車の合弁会社が販売したセダン〕で、会社が提供する通勤手当で部分的に費用を賄うことができる。セカンド・ラインは「パサート」〔フォルクスワーゲン社のステーションワゴン〕に乗り、会社が提供する通勤手当で車の維持費はほぼ賄うことができる。

 本部長階級は「ブルジョア」、有産階級である。単に持ち家があるだけではなく、高級住宅地の優良物件か「別荘」だ。社用車を使うか、社用車と同クラスの自家用車を会社の経費で買うか選ぶことができる。しかも維持費など車関係の経費はすべて会社の負担だ。

 VP(副社長)とpresident(社長)は「キャピタリスト」、資本家階級である。家には管理人と守衛がおり、会社からは運転手付きの送迎車が用意され、出張ではファーストクラスに搭乗する。

 ララは思った――ずっと営業アシスタントなんかやってられない、「プチブル」で終わるなんて絶対にいや。

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GO! ララ、GO! (1)

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一 忠誠心は満足から

 大学を出てから年目、民間企業と香港台湾企業の洗礼を受けた後、ララはついに夢を叶え、通信業界で有名な外資系トップ五百に入る米国資本のDB社サウス・チャイナ(SC)支社にセールス・アシスタントの職を得た。月給は四千元〔日本円で約六万円〕だった。

 この部署はいわば営業部隊を支える裏方で、エリアセールスのデータ管理、地域統括部長の下での経費管理、会議手配など営業部隊の日常業務のコーディネートを担当する。業務内容は煩瑣で、自己裁量も適度に行わなければならない。上長に報告・相談すべき事柄と地域統括部長の手を煩わせてはならない事柄をわきまえ、問題が起きればどの部門とコミュニケーションをとるべきかを把握している必要がある。ここでは、要領よくテキパキと事務をこなし、責任感が強く、論理的に思考し、コミュニケーション能力が高いことが求められる――要するに、要求される条件は決して低くなく、待遇はさほど高くない。良い点を挙げれば安定していることだが、いわゆる安定には二通りの解釈ができる。一つは変化が少ないこと、もう一つは見込みも将来性もないということである。

 またこの部署は業務が煩瑣なうえに事務の内容もさほど付加価値の高いものではなく、社内でのキャリア・アップについても昇進はほとんど期待できないのだが、ここに配属されたスタッフは営業等採算部門の野心に満ち溢れた高給取りの一線社員たちと毎日やり取りしなければならない。何の志もない人間でもなければ苦痛を感じざるを得ないだろう。しかし当時のララはまさにこの部署にうってつけの人材だった。彼女は聡明で有能で責任感が強く、しかもトップ500の企業で安定した仕事に就くことだけを望んでいたから―――新卒後三年間の不本意な職場環境のために彼女は精神的に少し疲れていたのだ。

 DB広州オフィスの受付嬢ヘレンは、ちらっと見ただけで誰もがずば抜けた美女だと目を見張り、ついでに彼女が親しみやすく楽観的で向上心のない広州出身者特有の性格の持ち主であることも知ることになる。ヘレンは工員の娘で下町育ちだった。工場労働者に見られる無欲で楽観的な生き方は彼女に人格形成に決定的な影響を与え、学生時代には進んで人助けをするという評価がついてまわった。彼女の容易に満足する性格や根拠のない楽観は神の域にまで達し、そのため彼女はその人柄に恥じないあだ名をつけられた。「天真爛漫な天然女子」、略して「テンテン」である。ヘレンは子どものころから勉強が嫌いだったが、二十歳のときにホテル管理専門学校でどうにか卒業証書を取得し、どうにか学んだ英語と生来の美貌でDBの受付に採用された。普通の女性にとっては大企業の受付嬢は出世の踏み台のようなものだ。一、二年働いたら何とか営業アシスタントくらいにはなりたいと考えている。しかしヘレンだけはもう丸三年も受付に座ったままで自分の前途について考えることもなく、聡明さと勤勉さと快活さを浪費しているのだった。「前途」という言葉はヘレンにとってはあまりに難解な文章語である。彼女はDBの受付業務を非常に気に入っており、シャングリラホテルのフロント係に比べれば少なくとも座っていられるし早番遅番の交代勤務もない分ずっとましだと思っている。

ヘレンには他にも才能があった。彼女がその気になりさえすれば、初対面の相手が目の前に現れて十五分後には母方の祖父母の家の門が南向きか北向きかまで聞き出すことができるのだ。ララは後にヘレンに向かって「それを対人関係における『親和力』というの。年度末報告で自分の長所として書くべきよ」とアドバイスした。

 出勤一日目、ララがエレガントかつゴージャスなDB社の受付で名前を告げると、ヘレンは親しみを込めて「お待ちしていたわ、どうぞおかけになって」と言いながら、オフィスの担当者に取り次いでから、慌ただしく自己紹介をした。ララはほっとして心が暖かくなるのを感じた。

 ララは壁にかかっている写真に目をとめた。米国大統領のような雰囲気のある外国人と中国政府中央の指導者が微笑みながら握手をしている。ヘレンはララが写真を見ているのに気付くと「こちらがわが社のCEO、ジョージ・ゲイツよ」と説明した。ララは内心でCEOの貫禄に満足し、自分まで得意な気持ちになった。

 ヘレンはさも自慢げに「ジョージが19XX年に中国に来たときは自社所有の飛行機に乗って来たの。飛行路線も特別に申請したのよ。DBには何機かプライベートジェットがあるけど、全部大型機ばかりで小型はないの。CEOが中国で乗った社用車のナンバーは全部001よ」と言った。ララは彼女の言うことは眉唾物だと思った。乗用車の001ナンバーはすべて地方自治体が押さえている。どうして一企業にすぎないDBの社長が乗ることができるのだろうか。CEOは政府高官でもなければアメリカ代表でもないただの会社代表にすぎないのに。ヘレンはララが自分の話を信じていないことに気付くと、一冊の豪華な雑誌をララに渡した。「DBチャイナの社内誌『CHALLENGE』よ。CEOが訪中した時の記録があるわ」。 

 ヘレンは受付のマナー訓練を受けてはいたが、天性の人懐っこさは隠しきれない。ララはヘレンのペチャクチャとよく喋るところが可愛く思え、二人はすぐに仲良くなった。

 ララは新入社員オリエンテーションで「わが社はフォーチュン500〔全米上位500社ランキング〕で二十X位にランクインしており、世界の通信業界をリードしている」という紹介を耳にしたときには誇らしさで胸がいっぱいになり思わず背筋を伸ばした。会社への忠誠心を植え付ける教育の第一歩は成功したのだ。こういった教育は洗脳する側のニーズによるものだけでなく、洗脳される者のニーズにも由来する。結婚と同様に、自分の配偶者に満足すればするほど相手を選んだ自分自身にも満足し、そして配偶者に対してより一層の忠誠を誓いたくなるのだ。

 

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GO! ララ GO! -イントロダクション-

http://www.kanunu8.com/files/dushi/200805/553/3693.html


イントロダクション:民間企業での3か月 

  

 杜拉拉(ドゥ・ララ)は、中国南方の出身、容貌は並みの上というところだ。大学を卒業した年、ララは二十歳を少し過ぎていた。新卒で国営企業に就職、一年後に退職して珠江デルタ経済区の民間自動車部品メーカーに営業職として転職した。

 

  会社は業績がよく、社長の胡阿發(フー・アーファ)は地元の町役場から模範農民企業家として表彰された。アーファは実は「農民企業家」と呼ばれることを最も嫌っていたが、彼の気持ちとは裏腹に、メディアや役場の関係部門は郷鎮企業あるいは農民企業と多少なりともかかわりがあるイベントにはいつもアーファを引っ張り出して宣伝に使った。


 世間ではアーファはインテリを憎んでいると噂していた。彼は業務の必要性にかかわらず多くの大卒を工場に雇用し、そこそこ悪くない給料を出した。勤務条件や福利厚生もかなりよかった。だが、新入社員が入社したとたん、アーファは彼らに精神的苦痛を与え始める。特に有名大学を卒業した者や容貌の優れた者に対してはさらに辛く当たった。しかし待遇がよかったため、多くは耐えることを選んだ。


  ララが配属された業務部は広州にあったが、アーファ社長は、彼女をまず各地の工場に差し向け、生産工程を研修させた。現場を理解すればその後の仕事を順調に進めることができると言う。ララは内心では工場には行きたくなかったが、さも熱心で向上心がある様子を装い、花都の工場へ赴いた。十日もたたないうちに、アーファの秘書が病気で休暇をとったからという理由でララが臨時に穴埋めすることになった。

 

 ある日、ララがアーファの仕事に同行したとき、BMWの車内でこう尋ねられた。「『陋室銘』を暗唱できるか」。

 アーファは自分の教養を自慢したいだけだったのだが、世間知らずなララは『陋室銘』なら完璧にそらんじているとばかり得意になって暗唱し始めてしまった。「山は高きに在らず、仙あればすなわち名あり。水は深きにあらず、龍あればすなわち霊あり……」。アーファは怒りをじっとこらえ、彼女が暗唱し終えてから、「『陋室銘』は、全部で何文字だ?」と彼女に尋ねた。ララは、数えたことがなかったので、素直に「分かりません」と答えた。アーファは「八十一文字だよ」と言った。だが彼も『陋室銘』が何文字かなど数えたことはなかった。ただララが何文字かなど知るはずがないと踏んで、どうしても彼女の無知を指摘して鼻をへし折らないではいられなかっただけだ。


 ララは心中で毒づいた。――私は『陋室銘』に何が書いてあるか知ってる、それで十分よ、何文字あるかなんて関係ない!―― 口には出さなかったが顔にははっきりと書いてあった。アーファは面白くなさそうだった。


 しかし、ララは仕事には決して手抜きはしなかったし、会社に忠誠心を持って懸命に働いたので、アーファ社長は内心では喜んでいた。頑張っている社員をひとつ誉めてやろうと、アーファはララを社長室に呼びデスクの前に立たせて、自社の創業史を語りだした。ララの顔にかかりそうに唾を飛ばしながら、ひどい口臭を漂わせ、豚の米粉蒸しと経済成長の関係から、自分が大八車を引いて商いをしたことまで、二時間ぶっ通しでしゃべり続けた。「ララ、俺が昔どんな商売をしたか知っているか。昼間はあちこちの会社を回って歩いたが担当者に取り次いでももらえなかった。そこで夜になってから自転車で自宅を訪ねたんだよ。毎日通って家庭事情も調べた。手助けが必要なときにはすぐに飛んで行った。あの頃は若かったな。苦労のし通しだったよ。商品の搬送も自分で大八車を引いたんだぞ。大八車は知ってるか。このアーファが自分で引いたんだぞ」。


 ララはきつい口臭から逃れるために口実を探してデスクの正面からサイドに移動した。我ながら賢いやり方だ。その場に二時間も立たされ、ララは体の重心を左右の足に交互に移しつつ耐えた。筋力の鍛え方が足りないため、しまいには疲れで顔が赤くなってきた。アーファはララが頬を紅潮させているのを見ると、熊手のような手でいきなり彼女の細い手をつかみ、力をこめて斜め下へ引っ張った。ララはこんなことは生まれて初めてだ。思わずアーファに「社長、誰かに見られたら困ります!」と抗議した。アーファは周りに気を配りながらも、手を握ったまま言った。

「可愛いやつだな。お前に感動させられたよ」。

ララは「感動」という言葉をここで使うのは間違いだと思ったが、この危機に対して勇気を鼓舞し、作り笑いをして「私、恋人がいるんです、社長」と言った。アーファは気にする様子もない。

「ララ、お前は自分が美人でないのは知っているな?」。

ララは大急ぎで「そう、そうです。私は色黒で痩せすぎです」と自己批判した。アーファは、太ったあごを突き出し、「その通り!」と頷いた。

 ララは「ですから手を放してください」と懇願した。アーファは不満げに言った。

「ララ、お前はこの俺をいい加減な男だと思っているのか。いいか、よく聞け。俺を誘惑しようとした女は山ほどいた。だが俺は見向きもしなかったんだぞ! 信じないならこれを見ろ!」。


 アーファは握ったララの手をゆるめ、デスクの下から黒い棒を取り出した。

「これを見ろ。先週も美女がこのオフィスに来た。俺が何もしないうちに急にもたれかかってきてこう言った。『暑いわねぇ、アイスキャンディーが舐めたいわ』とな。だからこれをその女に見せて言ってやった。『アイスクリームもアイスキャンディーもない。何ならこの特殊警棒でも喰らわせてやろうか』。女は驚いて逃げだしたよ。俺はいい加減な奴じゃないんだ」。

 ララは彼が手を放しさえすればすぐにでも大声で助けを呼ぶか部屋を飛び出したかったが、仕事を失うことを恐れた。EQの向上に最も効果的なのは闘争であるというのはまさにその通りで、彼女はとっさに機転を利かせた。困ったような素振りをして、「何の前触れもなしにそんなお話をされても心の準備が……。いじめないでくださいよ」。吐き気を我慢しながらそう言うと、アーファは彼女が甘えていると思い喜んだ。

「明日は広州の営業部に戻って一人でよく考えなさい。一日中このオフィスの入り口に座っていなくてもいい」。

 

 夕刻、退勤時間になるとアーファは彼女を広州へ送った。運転手がいるのでララは安心してBMWの乗り心地を楽しんだ。アーファは後部座席に行儀よく座り、小声でララに「マリオットのレジデンスを一部屋借りてやる。自由に使っていいぞ」。

 ララは大学時代に羽振りのいい国営企業でインターンをしたことがあり、五つ星ホテルの格の高さを経験していた。アーファがマリオット――中国大酒店ホテルの部屋を彼女のために用意すると聞いた時には、その提案を決して受けることはないとはいえ、少しだけ気持ちが揺らいだ。


 アーファはまたララに言った。「ランニーを知っているか。今は自分で会社を経営している。彼女はもともと俺の下で働いていたんだ。上海の有名大学出身でお前と同じくらい賢かった。俺は多くの人材を育てたんだ」。

 ララはランニーなんて知らないし興味もない。マリオットホテルの近くでBMWから降ろしてもらい彼女はとりあえず目の前の危機から脱し、ぼうっとした頭で、左右の足の長さが違ってしまったようにぎくしゃくと自宅に向かって歩き始めた。


 翌日からララは営業部に出勤し始めた。営務部長は北京大学出身で言葉や態度はいかにも頭が切れそうだが、北京大出のエリートによく見られるような傲岸不遜な感じはなく、人当たりがよく、慎重で、むしろやや弱々しい印象さえ与えた。ララは後になって、さんざんアーファになぶられたせいでああなってしまったのだろうと思った。営業部の同僚たちは二十五~三十歳までの若者で、例外なく聡明で活発であった。彼らと一緒にいると学生時代に戻ったように感じ、ララは気分が晴れて顔色もよくなった。

 

 こうして二か月が過ぎた。アーファからはずっと何の音沙汰もない。顔を見せないだけでなく、少しでも彼に関係のある言葉、例えば『陋室銘』の類を聞くこともなかった。ララは無邪気な推測と楽観的な希望でこう思った――社長は金持ちだから言い寄って来る女は多いと自分で言っていたじゃない、きっと誰かほかに気に入った人と出会って特殊警棒を喰らわせずに一緒にアイスキャンディーを食べに行ったんだわ。


 その日、ララが長期出張から浮き浮きしながら会社に戻り、営業部オフィスに入ると、アーファは部長と雑談しているところだらけで。アーファはララを見ると「ララ、おかえり」と優しく声をかけた。何の屈託もないように微笑んでいる。

 ララは、おそらく互いによい方向に進んだのだろうと考え、思わず元気よく「社長、二か月お目にかかれませんでしたが、お元気そうですね」とあいさつした。

 アーファは、穏やかに笑い、ララに座るように言った。


 営業部長が電話を取りに立ち、ララが席でファックスを見ていると、アーファがいきなり足を伸ばして彼女の足の甲を触った。ちょうど夏だったのでストッキングなしで素足にサンダルを履いていた彼女は、まるで冷たく濡れたドブネズミが足の甲を這ったように全身を身震いさせた。一夜にして封建時代に引き戻され、彼女の笑顔は一瞬にして奪われた。ララは、足を引っ込めて作り笑いをした。「社長、申し訳ございません。だらしなく足をのばしてしまって、社長の足にさわってしまいました」。   

 アーファは彼女に少し顔を寄せて、「うまい言い方だ。お前はぜんぜん美人ではないが本当に利口だ。さっきのセリフはなかなか妥当だ」。 

ララは気持ちが乱れ放心したように考えた――「妥当」だなんてずいぶん文語的な言い方、アーファの使い方は間違いとは言えないけれど。

 

 この時、営業部長が戻ってきたので彼女は大急ぎで「そろそろ失礼します」と告げた。部長が彼女を呼び止め、「ララ、社長の秘書が体調を崩して出勤できないそうだ。君がしばらく秘書を代行しなければならないかもしれないよ」。後ろから殴りつけられたようにララの頭の中で「ガーン」という音が鳴り響いた。アーファが笑って頷いているのがぼんやりと見える。ララは作り笑いをする余裕すらなくオフィスを飛び出した。


 営業部を離れて花都のような田舎に行くなんてララは真っ平ごめんだ。もちろんさらに困るのは、社長は今のところ自分以外の「気に入った」女性と仲良くするつもりがないことだ。何の犠牲も払わず割と気に入っている今の仕事を確保しておこうなんて自分勝手な考えだったのだ、とララは悟った。彼女はその晩遅くまで紙の上でプランを整理し、どちらの顔も潰さない方法を見つけ出そうとした。


 二日後、アーファから営業部に電話があり、ララを今すぐ花都の工場へ寄越すようにと催促してきた。部長は電話をきると「ララ、急いでくれ。社長は機嫌が悪かったぞ。今日の午後こっち来るそうだ」と言った。

 ララは腹を括った。具合が悪いから病院へ行くと言い、部長は特に詮索もせずに彼女を帰した。


 ララには同じオフィスビルの事務所で働く友人がいて、ときどき気晴らしに彼女のオフィスを訪ねていた。小さなオフィスは女性二人だけで、のんびり働いている。ララは自分の災難を思ってため息をついた。彼女たちに何があったのかと聞かれて、ララは全てを詳しく話した。

 友人の一人はシア・ホンといい、ものまねが非常に得意だった。「ララ、そのアーファさんは従化出身でしょ。従化の訛りはこんな感じじゃない?――アイスキャンディーはない。特殊警棒でも喰うか?」。

 彼女はカーペットの床に立ち、アーファのいかにも農民起業家らしい口調でもっともらしく模倣した。従化訛りがあまりによく似ているので、ララたちは腹を抱えて笑い転げた。

 二人は「ここでは上手だけど、アーファに聞かせる勇気はある?」とシア・ホンをからかった。シア・ホンは胸をたたいた。「もちろん! 彼に聞かせないと私の才能が無駄になるわ。無駄にするなんて罰が当たる!」。


 ララは、アーファが午後に営業部に来ると部長が言っていたことを急に思い出した。今頃はもう着いているかもしれない。シア・ホンは豪胆にも「電話番号を教えて! かけてみる!」と言った。彼女は受話器を取るとララに聞いた。「あ、あなたの会社の電話はナンバーディスプレイはある?」。

 ララは「大丈夫、ないわ」とうけあった。


 本当に電話をかけると男性が出て誰に用かと尋ねたので、シア・ホンが喉を押さえながら作り声で「社長をお願いします」と言うと、電話を取った男性は彼女が誰かも尋ねずにアーファを呼んだ。すぐに社長にかわり、シア・ホンは喉を押さえて話し始めようとしたが、急に怖気づいて電話を置いてしまった。何と言ってもアーファは社長だ。社長の迫力に気おされて肝の太いシア・ホンもつい気後れしたのである。


 ララたちは失望すると同時に彼女の慌てた様子を笑った。シア・ホンは悔しがり、ちょっと休んでから、もう一度やってみることにした。電話が繋がると、また喉元を押さえて社長に取り次いでくれと言うと、相手はやはり彼女の名前も確かめずにアーファを呼んだ。社長が出ると、シア・ホンは今度こそ頑張ろうとしたがまた急に受話器を投げ捨てた。全身が震え、手足が冷たくなっていた。


 ララたちは笑いすぎて絨毯の上で転げまわりそうになったが、シア・ホンは決してあきらめず「失敗は成功の母」だと言い張った。シア・ホンは自分で牛乳をコップに一杯注いで飲み、エネルギーを補充をしてから「3回目は死ぬ気でやる!」と宣言した。ララは、3回目は電話に出ないのではないかと疑ったが、しかし社長はまたも律儀に電話に出たのであった。


 シア・ホンは、相手がもしもしと言うのも待たずに喉を押さえ、よく響く鋭い声で、「何が食べたいって? アイスキャンディーはないぞ。特殊警棒でも喰らえ!」とものすごい早口で叫び、大急ぎでガチャっと受話器を置いてソファーにぐったりと倒れ込んだ。


 ララたちは笑いが止まらず、このスーパーヒロインの肩を抱き背中をなでながら従化訛りを忘れず見事に言い切ったことを称賛した。ひとしきり笑って、ララはシア・ホンに「アーファは何か言った?」と尋ねた。シア・ホンは動悸がおさまらないまま「何も言う間がなかった」と答えた。

 「じゃあ電話に出たのがアーファだって、どうしてわかる? 電話に出た人は社長はもう帰ったと言おうとしていたかもしれないのに」。

 シア・ホンはその可能性があることにようやく気付いて、しばしがっかりせざるを得なかった。


 ララは何度か笑ってから会社を辞めることに決めた。彼女はシア・ホンの友だちがいのある勇気ある行動を称賛したが、シア・ホンはやはり気持ちがすっきりしないようだった。ララは彼女に申し訳なく思い、三十分後に営業部に戻って、アーファ自身がこのアイスキャンディーと特殊警棒の電話に出たかどうか確かめると約束した。


 ララが営業部へ戻るとアーファはもういなかった。部長は疑いのまなざしでララをまじまじと見ながら「さっき奇妙な電話が何度か社長にかかってきた。電話に出た社長は不機嫌になってすぐに帰ったよ」と言った。ララは「俺様は頭にきたぜ、俺様はもう帰る!」と鼻歌で答えた。部長は「女の子が俺様なんて」と笑った。


 アーファがシア・ホンの電話に出たことを確認した後、ララは上機嫌で退職願を提出し、シア・ホンたちにグッド・ニュースを報告しに行った。ララの民間企業での職業人生はこんなにもあっけなく終わった。彼女はこの物語には正義も屈辱もなく、あったのは選択だけだと思った。


 シア・ホンは彼女に次はどんな仕事を探すのかと親身に尋ねた。ララはちょっと考えてから、うっとりとした調子で言った。
 「本物の外資系企業がいい。ハイテクで先進技術を持つ世界のトップ500に入る多国籍企業。そうすれば高収入が約束されるし、『陋室銘』を暗唱させられることもない。セクハラだってあるはずがないもの。それに社長はきっと超多忙で二時間も自慢話に付き合わせる趣味もないでしょう。たとえ万が一、社長が自慢話をしたとしても絶対にすごく魅力的な内容だと思う!」。

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GO! ララ GO! -序文・登場人物-


プロローグ

 ほとんどの人はどうにか食べていかなければならない。ただ生活するだけでなく、仕事がうまくいくことも望んでいる。食べていくために、経営に向いている人もいるが、より多くの人々は雇用される立場で働いている。実際は、経営者になるということもまた、自分で自分を雇っているのと同じことなのだ。

  働くには様々な関係人間をうまく処理していく必要がある、例えば上司や部下、同僚、内外の客先とうまくやっていかなければならない━━ HR(人事)の言い方を借りれば、組織の構造を理解し影響力を持ち内外の関係を確立することによって業績向上を達成するということになる。

  あなたが多くの仕事をこなしたとしても上司は快く思わないかもしれないし、たいした能力もないのに性格の悪い部下を持つ可能性もある。あるいは、同僚に嫉妬されたり嫌われたり、顧客に横柄な態度をとられるかもしれない ━━ 任務を完璧に遂行したければ、彼らをうまく手なずけることが肝要だ。

  人は一生で多くの幸運の女神に出会う。そのままの姿で眼の前に現れて手招きをしてくれることもあれば、どこかの片隅にひっそりと隠れてあなたが見つけてくれるのを待っていることもある ━━ チャンスをつかみ、チャンスであることを見ぬき、さらにチャンスを作り出すことがあなたの最初の任務、それからがようやく組織の仕事になる。

   人のエネルギーとリソースには限りがある。だからこそ正確で効果的なやり方を理解し把握しなければならない。なぜなら、適切な原則があれば回り道をしなくて済み、専門知識があなたのパワーとなるからだ。

 

  この小説は、完全なノンフィクションとして暇つぶしに読んでもいいし、経験をシェアするためのビジネスマニュアルとして使うこともできる。この小説の主人公、ララは典型的な中産階級だ。彼女には後ろ盾はないが、そこそこの教育を受け、真面目に生き、成功を手にした。大部分の読者にとって、彼女の物語はビル・ゲイツの伝記よりも参考になるだろう。なぜなら彼女がやってきたことは誰にとっても実行できそうなことばかりだから。

 

  良書と呼ばれるのはどのような本だろう。私自身は、書籍の時代、テレビの時代、そしてインターネットの時代を経験してきている。書籍の時代には、手に入ったちょっと面白そうな本を片っ端から読みふけった。テレビの時代になると毎週土曜日の夜8時から11時までテレビにかじりついて様々なドラマを見た。そして情報が溢れかえるインターネットの時代には人々は情報を選別する難しさに直面している。

 

  本は今どのような役割を果たすだろう。私が考える良書は、ロジカルで生き生きとしていて有効な情報を提供するものだ。ロジカルで生き生きとしていて有効なものにするためには、自分の経験をただそのままシェアするだけでは不十分で、読み手にとって分かりやすく記憶に残りやすく、実用的で面白く、さらに不足なく広く通用するようにしなければならない。そうすれば個人の経験が常識あるいは原則にまでレベルアップし、人々も安心してそれに従い、現実的なメリットを得ることができる。

  私はララの物語がこのような良書であることを願っている。

   最近はCCTV(中国中央テレビ)に感謝の言葉を述べるのが流行っているようだが、私はCCTVとは全くご縁がないので、自分に多くの経験をさせてくれたこれまでの人生と、愛する家族と友達、そしてこの小説を書くことを勧めてくれたワン社長に感謝の言葉を贈りたい。

   それから、読者の皆さんに感謝したい。皆さんがいてくれさえすれば寂しくない。

 

DB人物表

ジョージ・ゲイツ ━━ グローバルCEO(最高経営責任者)

ロス ━━ DBアメリカ不動産部本部長

ロバート ━━ DBアジア太平洋地区CEO

ハワード・ヘルマン(ホー・ハオダ) ━━ DB中国社長、DBアジア太平洋地区CEOの直属の部下

チー・ハオティエン ━━ DB中国社長、ハワードの後任

ピーター ━━ 副社長、財務担当、DBアジア副CFO(最高財務責任者副社長)の直属部下。ニックネームは「グーさん」

ロジャー ━━ 副社長、営業担当、ハワードの直属の部下。ニックネームは「10万」

ワン・ウェイ(デイビッド) ━━ 大口顧客部本部長、営業担当、DB中国社長の直属部下

トニー・リン ━━ 法人営業部本部長、営業担当、DB中国社長の直属の部下

ジョン・ハンター ━━ マーケティング部本部長、DB中国社長の直属の部下、後に営業担当副社長ロジャーの部下となる

レスター ━━ 人事部本部長、人事と総務担当。DB中国社長の直属の部下、ララが部長に昇進後、彼女の直属の部下となる

チュー・ルオイ ━━ 人事最高責任者、DB中国社長の直属の部下、レスターの後任者

ジャック・チウ ━━ 大口顧客部SC(South China)エリア部長、ワン・ウェイの直属の部下

デイジー ━━ 大口顧客部EC(East China)エリア部長、EC地域部長の直属の部下、後にEC地域部長、ワン・ウェイの直属の部下

レベッカ ━━ 社長補佐、ハワードの直属の部下

ヨランダ ━━ 副社長補佐、ロジャーの直属の部下

イザベラ ━━ 本部長補佐、ハワードの直属の部下

ローズ ━━ 総務部長補佐の後総務部長に昇進、レスターの直属の部下、後に退職

ワン・チャン ━━ 北京総務課長、ローズの直属の部下、後に退職

リー・ウェンホア ━━ 採用部部長、レスターの直属の部下、後に退職

トン・ジャーミン ━━ 採用部部長、レスターの直属の部下、リー・ウェンホアの後任

ジェイソン ━━ 採用部スタッフ、リー・ウェンホアの直属の部下、後に退職

ワン・ホン ━━ 経理部部長、レスターの直属の部下

レオン ━━ 経理部スタッフ、ワン・ホンの直属の部下

ジョウ・リャン ━━ 北京人事課課長、ララの直属の部下

パメラ ━━ 上海人事課課長、ララの直属の部下、後に退職

ジョウ・ジウイ ━━ 上海人事課課長、ララの直属の部下、パメラの後任者

ヘレン ━━ 広州人事課課長補佐、ララの直属の部下

マギー ━━ 上海人事課課長補佐、ジョウ・ジウイの直属の部下

サンドラ ━━ 北京人事課課長補佐、ジョウ・リャンの直属の部下  

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