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三毛の中南米紀行 -18-

平和の町 

親愛なる市長様へ

 お別れの日に伝え忘れていたのですが、私の中国名はあなたたちの愛すべき町と同じ「平和」という意味を持っています。

 初めてラパスに着いた時、どのような町と人に会えるのか、全く見当がつきませんでした。ご存じの通り、私は旧市街のホテルを選び、ラパス市内の豪華なホテルには泊まりませんでした。市長さんが「あなたのような人は、ここの町や村の人と土地を深く観察するべきですよ。ホテルで時間を費やしてはいけない」とおっしゃって下さったので、そのお言葉にしたがったのです。

ボリビアでの十八日間は瞬く間に過ぎてしまいました。この短い間に、私はボリビアの快適な列車と長距離バスを利用して遠出し、あちこちの町を訪ね歩きました。パラマは私に深い思いを芽生えさせた特別な町です。あなた方の都市とそこに住む人々は、私の滞在中に親身に接し飾りのない愛情を与えてくれました。この異郷の旅人を地元の友人と同様に扱って頂いたので、本当に立ち去りがたく感じました。

 私が見たラパスは平和の町でした。清潔な街並み、飛ぶように走る清潔なバス、親切なタクシー運転手たち、商店の接客もすばらしく、レストランは高級なところもそうでないところも親切にサービスしてくれました。

 鳩が群れる都心の広場は、大勢の人がいても騒がしさを感じなかったのは、市民の皆さんがゆったりと落ち着いているためでしょう。

 高層ビルは昔のヨーロッパを彷彿させる都心に建てられ、新旧入り交じった建築物も街の景観を壊さず、人々の目を楽しませます。

 私はラパスの様々な博物館、旧市街、新しい地区、大通り、路地から花市場や商品市場、それに動物園や美容院まで足を運びました。私が出会った人々はみなこの土地で楽しく穏やかに過ごしていました。

 特に感謝したいのは、皆さんが自然をとても大切にしていることです。ラパスは豊かな自然に恵まれ、あちこちに公園と広場があります。旅人は深夜に落ち葉を踏んで散歩をしながら、立ち去ることが名残惜しく、必ずここに戻ってきたいと強く思いました。

この都市に略奪や暴行も不誠実な態度もなく、旅の間ずっと安心して過ごすことができ、異郷にいる不安をまるで感じませんでした。

 中南米の旅行では、至るところで愛すべき人々に出会い、絵のように美しい景色を多く見ましたが、ボリビアのように民族に魅力がある国はありません。ラパスのような都市にはなかなかお目にかかれないと思います。

 私は中国人で、自分の家と自分の国があるます。普通に考えれば外国をこんなにも深く愛することや気に入ることはないはずだと思っていました。ですが、私はこの手紙を書かずにはおれませんでした。ラパスに伝えてください。中国人であってもこの土地を愛さずにはいられないのです!

 その理由は単純です。ボリビアが先に私を好きになってくれたからです。立ち去るとき、喫茶店の女の子も、道で大地の母を売っていたおばさまも、皆さん目を潤ませて私をみつめ、「マミダ! 早く帰ってきて!」と声をかけてくれました。

 市長さん、私はここで「マミダ」と呼ばれ、あなたたちの仲間になり、外国人ではなくなりました。あなたにラパスはどんな町かとたずねたとき、こう答えて欲しかったのです――ラパスは高原に永遠に咲き続ける一本の百合だ、その香りは一生忘れることができない、と。これから出会うであろう世界の人々に、ボリビアがどんな国でラパスがどんな町なのか、私は幸福感とともに伝えるでしょう。

あなたが今年の夏頃に台湾へいらっしゃるかもしれないと伺いました。私の同胞が良い印象を与えられるよう、同じような教養と情熱でもてなすことを期待しています。

お別れするときに住所を聞き忘れてしまいましたが、空港案内所の女性が親身になって市庁舎の住所を調べて書いてくれました。この手紙をあなたに送るだけでは、台湾の人々にラパスの美しさが伝わらなくなってしまうので新聞に投稿することにします。一人の中国人がボリビアに捧げた最大の感謝と称賛とお受け取りくだされば幸いです。

どうぞご自愛ください。

あなたの友人 Echo

 

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